現地で活動しているNPOの方々と一緒に、福島県飯舘村の農村部及び周辺地域に行き、モニタリングや除染のためにradiation-watch.orgが協力できることについて話し会いました。全村避難で一時的に帰宅されているお忙しい中、快く引き受けて下さった地元の方々およびNPO関係者に御礼申し上げます。
また、現地の環境で正確な値が出せるよう、ポケットガイガーKITのキャリブレーションを行いました。実験には、KEK(高エネルギー加速機研究所)の放射線センサーの専門家と、東京大学の土壌物理学の専門家のご協力をいただくことができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
ボランティアの方々が収集した独自の線量マップを見せていただきました。住宅地や道路はもちろんのこと、村の面積の大半を占める「森林」の浄化をどのように進めるかが、今後の大きな課題となっているようです。そのためには、詳細な基礎データの収集が必要だということがわかりました。
キャリブレーションはこのように行いました。確実に校正されたシンチレーション検出器のシンチレータ中心位置と、ポケットガイガーのセンサ中心位置を同じ高さに合わせて、シンチレーション検出器の示す線量と、ポケットガイガーの示すCPM値をプロットします。放射性物質の拡散具合とセンサーの立体角が複雑に影響するため、センサーを向ける方向には注意を払いました。
なお、この場所(住宅の前)での空間線量は地上1mにおいて、2~3uSv/h程度でした。
同じ場所で、土壌付近での線量を測定した様子です。7.7uSv/h程度の線量を確認できました。また、地質によって線量が大きく異なることがわかりました。
地元の方のご案内で、文部科学省のモニタリング地点に案内していただきました。掲示されている地図の赤丸で囲った地点です。ここから先は半径20kmの立ち入り禁止区域となるため、一般車両の通行はできません。また、この付近は厳重な検問が実施されており、20km圏外であっても正当な目的なく立ち入ることは難しいと思われます。
文部科学省が掲示している当該地点の空間線量です。この日は、13.7uSv/hとありましたが、我々が同条件で測定した数値は8uSv/h前後でした。文部科学省がどのような機材で測定しているのかはわかりません。
爆発事故直後の3月17日の線量は95.1uSv/hとあります。また、3月16日から5月14日までの累積線量(1日8時間の屋外活動を想定)も記載されており、18233uSv、つまり約18ミリシーベルトとのことでした。
車内で測定している様子です。ポケットガイガーを使われている方はおわかりいただけると思いますが、Counter logの部分に沢山の放射線が検出されているのが見えます。この場所の線量は地上1mにおいて、5~6uSv/h程度でした。
現地で得られた貴重なデータは、後日詳細に分析した上で、ポケットガイガーのアプリケーションに組み込まれる予定です。